雑記

好き勝手言います

飴ちゃん

昨日、朝からイライラしていた。意味もなくイライラすることはあまりないタイプなので、自分としてはなかなか珍しい出来事だ。調子が悪い訳でもなく、目覚めも良かったのに、その日の朝は何故か気が立っていた。問答無用で人がウザくて、一丁前に「お前寝起きなんか?」みたいな雰囲気を漂わせた。

こういう気分の時に何かを発するのは、後悔することが多いのであまり好まないのだけど、自分的には珍しい現象であったし、面白いものが書けそうな気がしたので、今回は書き出すことにしてみた。このところ、心の端っこに不誠実なことをしたいという気持ちもあり、「盗んだバイクで走り出すしかない?*1」などと、ふざけて考えていたところだったので、ちょうどいいかもしれない。それと、先輩から可愛いパッケージの飴ちゃんを貰い、機嫌がだいぶ治ったので、まあきっと書けるだろうということで書き始めた次第だ。もしかすると、ちょっと雑で荒いものになるかもしれないが、そこはご了承願いたい。

イライラ気分の私は、過去のウザかったあれこれをエンドレスで思い出した。イライラというのは不思議なもので、その時はなんとも思ってなかったことや違う土俵にいる人のことだと適当に受け流していたようなことを思い出させ、わざわざ一つ一つ腹立たせてくるのである。そんなに律儀である必要はないというのに。別に取り合うほどでもないけどモヤモヤすることというか。いわゆるあれだ。自分の鼻とか眼鏡の縁とか、そういうやつ。見ようとしないと見えないけど、一度見えるとやたらと見えちゃうやつ。

そもそも、イライラというものには意味なんてない。遠いところにある何かが反応しているだけのことである。イライラは気分の一種で、それによって具体的に見えてくる感情が怒りなだけである。

この日私が思い出していたものは、マウントを取られたり、見下されたり、舐められたりする類のものだ。しかも、そういったことをする相手は、大概、無自覚であったり、悪気がなかったり、善意的であったりするので、バツが悪い。こういうのは、低いところにある自分のプライドを上げようとするから起こるのだろうが、自分は楽なところにいて、相手を都合よく動かして自分を満たそうとしているだけなわけだから、やられる側からすればそりゃあ嫌な気持ちになる。こちらにもプライドがあるわけなのだから、プライドとプライドは干渉し合う。

例外もある、というより例外しかないという前提の話だが、とても雑に分別すると、男の人の場合は低い自分を相手にマウントを取ることで上げようとしがちで、女の人の場合だと低い自分と同じところにいて欲しくて同じように相手を下げようとしがちであることが多い気がする。男の人のは「強くないといけない」などの価値観で育ってきたことの影響だろうし、女の人のはいわゆるミソジニー(女性蔑視)などの影響であろう。どちらも自分自身ではいけないというのが根底にあるが、そういうふうに形成されたものから人間は逃れられないようである。(だから人間は面白いとも言える。)(逃げられないと言いつつも、そこに甘んじて他人を傷付けるか、顧みて傷付けないようにするかは選べると思っている。)

人間が悲しいのは、多分これらの価値観の元を辿っていくと、きっと「好き」という感情が関係しているというところだろう。「好き」の役割は心を作るところにあって、抱いた時点で役割は果たしているのではないかと思ったりもするが、人間はそう簡単にはいかないようだ。特に対人においては、許しすぎたり許せなくなりすぎたりするようである。人間は、愚かで残念で悲しくて面白くて可愛い生き物だなと思う。
(腹立たしいことをする人が好きを動機にしてるという話ではないのでそれは断っておきたい。)

 

後記*
実はこの記事、昨日のうちに書き切るつもりだったのだが、力尽きて結局書き上げることができなかった。眠気に負けたというのもあるが、オースティンの『高慢と偏見』を見返し始めてしまい時間が無くなったからというのが要因の一つだ。今回の話題に引っかかる作品だったので見返したくなってしまったのだ。作品を簡単に説明すると、『高慢と偏見』は恋愛小説の古典で、最初は上手くいかないプライドの高い男女が結婚するまでの物語である。そこに、高慢と偏見という視点が入り、人間の本質が皮肉的に描かれる。

面白いなと思うのは、英タイトル『Pride and Prejudice』。(語呂もきれい)
【Pride】という単語には「誇り、自尊心、満足感」などのポジティブなものから、「高慢、自惚れ、自慢」などのネガティブなものまで含まれており、【Prejudice】という単語には「偏見、先入観、毛嫌い」などに加え、プラス方向に行き過ぎる「えこひいき、偏愛」の意もある。その英タイトル通り、いろんな種類のPrideとPrejudiceが入り混じる作品で、その具合がとても巧妙かつ絶妙で、オースティンすごいな…となるわけである。

 

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*1:©︎尾崎豊『15の夜』